●「焼き入れ」は、
鋼を硬くするために行う熱処理です。その方法は鋼をある所定の温度に加熱保持した後、急速に冷却します。ここで所定の温度とは、鋼のもつ炭素濃度でほぼ決定され、加熱保持とはその物の大きさ、冷却速度は鋼の含む特殊元素によって決定されます。また焼き入れだけでは、製品として使いものにならず、次の焼きもどしが不可欠となります。
●「焼きなまし」は、
鋼の分子を調整し鋼を軟らかくするために行う熱処理です。焼鈍(ショウドン)とも呼びます。
●「焼きならし」は、
鋼を標準状態つまりノーマルな状態にするために行う熱処理です。
●「焼きもどし」は、
焼き入れしたものは、硬いけれど脆いという欠点がありますので、これを粘り強くするためにあぶり返すという熱処理です。
クルマやバイクいじりのためのハンドツールというものは、文字通り手の延長のように馴染み、しかも頑丈でなければ使いものになりません。見た目だけの美しさだけでは、けっして良い工具とは言えなく、その強度には材料や熱処理が深く関係しています。もし格安工具というものが、材料や熱処理に関して手ぬきがあれば、その製品の精度・強度・耐久性に問題が発生してしまいます。例えばソケットが使用中にいきなり割れたり、ボルトをなめたりすると大変危険なことになります。国内外の信頼のできるブランド品は、タフでありながら工具本来の機能美というものを兼ね揃えているわけです。
また上でハンドツールの材料が〈Fe+C〉の鋼だと言いましたが、実はこの鋼だけではありません。つまりステンレスやアルミニウムあるいはチタンなど従来にはない新しい素材を使った商品もこの世の中にはあるということです。そこでこれらの新素材を使ったハンドツールについて以下に説明します。 |