一方、バレル(barrel)は「樽」を意味します。つまりバレル式は、樽の中に素材とバレルストンと呼ばれる研磨石を入れて前後左右にゆさぶり、カチャガチャみがく方法です。バフ式よりも磨く効率は高いが、任意の場所を磨く部分研磨ができないのが欠点といえます。
またバフ式もバレル式も研磨材の大小によって、荒目から細目という段階があります。以上の研磨を組み合わせた表面処理がミラー仕上げと呼ばれるものです。
もちろんピカピカのミラー仕上げにするためには、光を助長させる光沢剤というものも入れています。
梨地仕上げは、果物の梨の表面を思わせるザラザラしたフィーリングに仕上げるものです。その製造方法は、高速回転する翼車で多量のショッ
ト(綱粒子)を連続的に遠心力投射することによって、素材の表面を磨くというものです。簡単に言えば、ごく小さなボール状の投射材という
ものを素材に、はげしくぶつけてその表面を磨くという方法です。
この工程を専門用語でショットブラスト又はショットピーニングと呼ばれています。またぶつけるボールの大小によって、いろいろなフィーリ
ングに仕上げることができます。ツールの全体を梨地に仕上げるものや、 ソケットやエクステンションの差込み部の外周の表面だけに、このような梨地仕上げを採用しているものもあります。
何ごとも派手好きなアメリカはメッキもまばゆいピカピカのミラー仕上げ。この傾向はアメリカだけにとどまらず、日本のメーカーも相次いでミラー仕上げのものを登場させました。フランスのファコムも昔は梨地仕上げでありましたが、数年前にモデルチェンジしております。
一方、梨地仕上げは、ヨーロッパはドイツのハゼット(Hazet)や
スタビレー(Stahlwille)に代表されます。ピカピカの鏡面仕上げもいいが、こうしたザラザラした粗い仕上げも質実剛健な趣きがあって通好みの渋さを感じます。
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