●フレックスハンドル(Flex
handle)
ソケットツールには1/4、3/8、1/2インチと言った差込角の区別があるわけですが、なぜこれらの区別が存在するかと言うと、それは締め付けトルクと作業性に深い関わりがあります。一般的には差込角の小さいものはコンパクトな形状で狭い場所での作業に適し、差込角が大きいものは強度的に頑丈で大きなトルクを与えることができます。
通常ソケットのサイズで言えば差込角3/8インチの守備範囲は6ミリから24ミリ。
バイクやクルマをメンテナンスするのは一般的に3/8が適しているといわれるのはこのような理由からです。実際に3/8のツールを中心にメガネレンチやスパナやペンチやドライバーといった必要最低限のものが揃えば、オイル交換をはじめ大半の定期交換パーツの取替作業も可能です。
しかしどうしても3/8インチのハンドルでは力不足でネジが緩まないという状況が発生する場合があります。こんな時には差込角の大きい1/2インチのハンドルやインパクトレンチあるいはショックドライバー等を使用するといった方法がありますが、もしこのようなツールを持ち合わせていない場合はみなさんはどうしますか?
もちろん正しい使い方ではありませんが、おそらくハンマー等で衝撃を加えたり、あるいはハンドルにパイプを繋いで力を加えるのではないでしょうか?しかしこのような使い方をする場合には、使用するツールが破損する恐れがあることを考えなくてはなりません。そこで次の様な配慮が必要となります。
まず壊れる率が低いものを使用するということです。つまりメガネレンチのような1本構造になっているタイプのものを使ったり、あるいは限界能力の高い差込角のできるだけ大きいものを使う。あるいは壊れてもいいような安物工具を使う。このような点に気を付けるだけでもツールの破壊の危険から少しは解放されるわけです。
そこで3/8インチのハンドツールではどうしようもないような固く締まったネジを外そうと時、つまり大きな回転トルクを必要とする時に、威力を発揮するツールが長い(ロング)フレックスハンドルなんです。
今、フレックスハンドルと書きましたが、名称については各メーカーによって異っています。
当社Pro-AutoやMACtoolではフレックスハンドル(FlexHandle)、
Snap-onではブレーカーバー(Breaker
Bar)、
STAHLWILLEではフレキシブルハンドル(Flexible
Handle)。
そして国内の主なメーカーはスピンナーハンドル(Spinner Handle)と呼ばれています。
なぜ日本でスピンナーハンドルと言われている所が多いかと言うと、日本で紡績業が全盛期の頃、スピンナー(紡績工)が紡績機械のメンテナンスによくこのレンチをよく使っていたことから来ているようです。(以後の文章ではフレックスハンドルと呼びます。)
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