技術編 |
Q1)サイドスリップテスタだけの調整だけではいけませんか? |
サイドスリップテスタはクルマを前進させたときの横滑りの量を測定する機器です。決してト−を測定するテスタではありません。多くの整備に携わっているプロでさえ間違った認識を持ちつづけているのが現状です。簡単にこの機器を説明すると、スリッププレートの上に前輪を通過させてプレートがクルマの中心側に動くとアウト、外側へ動くとイン、そしてクルマが1メーター前進したときの横滑り量が何ミリという具合に表示されるわけです。なぜサイドスリップテスタでアライメントが測定できないかと言えば、「イン、アウトに横滑りしてますよ」と表示されるだけでは、その原因がホイ−ルアライメントなのか、タイヤなのか、それともフレームが原因なのか解らないためです。クルマは様々な原因で横滑りを起こします。サイドスリップテスタは4輪アライメントを測定した後に完成検査用として使用するためにあるのです。だから車検を行う陸運事務所に設置されているわけです。もしサイドスリップテスタで前輪のト−を測定しようとするなら
1.後輪が幾何学的中心線に対して同じ角度である。 2.後輪のキャンバが左右ともゼロである。 3.前輪のキャンバが左右ともゼロである。 4.前輪のキャスタに左右差がない。 5.前輪のSAIに左右差がない。 6.前輪のスクラブ半径に左右差がない。 7.セットバック、オフセットのない完全なクルマであること。 8.タイヤが4輪とも新品である。
以上の条件を満たせば前輪のト−の測定は理論上可能であるが、実際にはとうてい不可能なことです。だからこそ4輪アライメントが必要なのです。Pro-Autoアライメントテスタで測定すればトラブル車の原因がサスペンション部品なのか、クルマのフレームなのか、タイヤなのかが即、判断できます。 |
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Q2)アナログとデジタルの違い?そして精度は? |
アナログとデジタルの違いについて少し解説します。まずはアライメントテスタのことではなく、例えば時計で説明しましょう。1時45分に待ち合わせをしていたとします。現在の時刻が1時12分です。時計を思い浮かべて下さい。デジタル時計であれば頭の中で引き算をしてあと33分という計算が必要になります。ところがアナログ時計を見ると33分という数字ではなく時計の長針の感覚で残り時間を判断できるはずです。 つまりアナログ式の方が解りやすいのです。 Pro-Autoアライメントテスタで測定すれば、一番大事な後輪のト−などは測定ディスクと測定バーの隙間を左右見比べるだけでそのクルマが左流れ又は右流れのトラブルなのかを一瞬で判断します。要するに幾何学的中心線からクルマの進行線が解るのです。これがスラスト角度です。しかも精度は0.1ミリ以下。 一方のデジタル式テスターではどうでしょう? さきほどのスラスト角度では{スラストアングル(ー
0°25)}この表示ではプロでないと非常に解りにくいですね。アライメントの測定項目は全部で10箇所、これが左右あるわけですからアライメントはややっこしいと思われても仕方がないことですね。だからこそPro-Autoアライメントテスタではこの難しいとされている箇所を目視で判断できるアナログ式を採用しているのです。
【測定精度】 Pro-Autoアライメントテスタは、簡易式テスターでは誤測定を起こしやすいホイールクランプ式を採用せず、より高い精度を求めてハブボルト方式を採用しています。なぜならホイールは走行中縁石などに接触する危険性があります。曲がってしまったり、精度にばらつきがあるホイールにクランプして測定するのは無理なのです。ハブボルトであれば走行中危険にさらされることなく事故でボルトが大きく損傷を受けていない限りは高い精度で測定することができるわけです。
【補正機能】 デジタル式では当然ながら自動補正します。これに対してPro-Autoアライメントテスタは手動補正(測定精度0.1ミリ以下)を行います。他の簡易テスターでは補正機能を持っていないのがほとんどです。すなわちこの場合はホイールの精度が測定精度を左右するわけです。デジタル式では測定を行う前に機械の保守管理というめんどうな作業が要求されます。実はこの作業が重要で定期的にに専門業者にて行います。この作業を怠ると自動補正したときの精度にくるいが生じてしまいます。つまり保守管理してすぐ測定した数値と保守管理した数ヶ月後の測定数値では違ってきてしまうのです。Pro-Autoアライメントテスタでは保守管理が全く入らず故障することが全くないテスターです。測定ごとに手動にて補正を行う必要はありますが、この作業も1輪につき2、3分で終わりますのでそう面倒なものではありません。むしろその都度補正を行うことによって測定数値を100%信用できるわけです。 |
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Q3)Pro-Autoアライメントテスタ使用時の留意点 |
Pro-Autoアライメントテスタはデジタル式テスタのように決して機械自身が作業の進行を指示するものではありません。なぜならプロがプロらしく整備、調整するために開発された機器なのです。クルマはアライメントだけで真っ直ぐ走ると言うわけではありません。アライメントを測定する前にオフセット、セットバックを計測するのです。そして4輪のタイヤが付く位置が左右対称になっていることを確認してからホイールアライメント作業に移るのです。そうすることによってアライメントが正確により理解しやすく、よりはやく整備されることになります。デジタルテスタでトラブル車の不具合の箇所の特定またその箇所が判明したが、調整ポイントがないので整備できない。というのは何も用語の意味が理解できないとか整備機器がないというのではなく、単にクルマをどうすれば真っ直ぐに走るのかがわからないだけなのです。 |
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Q4)角度の単位は? |
角度の単位は度数(°)と弧度法(ラジアン)によって表現されていますが、自動車関係では通常度数(°)を用います。
☆呼称方法 60進法(一度を60に分割) 1°(度) 60’(分) 分数表現を60進法に変換 1/4
(度) 15’(分) 10進法(一度を100に分割)を60進法に変換 【※整数に60をかける 0.25×30=15分】 0.25(度)15’(分) |
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